怪奇現象– tag –
-
【縦列型短編小説】くものほね 第三章
第三章/夢の箱庭 最後の夜、ボクは迷わなかった。布団に入る前、箱から最後の一本を取り出し、机の上にそっと置いた。この一本が、すべてをつなぐ。少女の声が、どこかでそう言っていた。目を閉じると、夢の中はもう庭ではなかった。あの静かな場所は、白... -
【縦列型短編小説】くものほね 第二章
第二章/庭に咲く声 次の夜も、ボクは夢を見た。白い紫陽花が、ふたつに増えていた。庭の奥で、少女が待っていた。前よりも、少し年上になっていた。少しだけ髪が伸びて、表情が影を帯びていた。「思い出すと、きれいになるの」少女はそう言って、しゃがみ... -
【縦列型短編小説】くものほね
第一章/箱の中の夏 祖母が死んだ。その夏、ボクは、山あいの町にいた。空は深く澄んでいて、蝉の声が、空気の隙間を埋め尽くしていた。母とふたり、田舎の家で祖母の遺品整理をすることになった。もう何年も使われていない畳の匂いと、どこか湿った風。時...
1