【連続大ミステリー小説】チョップマン [上]

チョップマン_サムネ
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憧れていたのだ。

22歳の冬、今日はやたらと冷える。
僕にはコンビニでのセットリストがある。甘くない伊国風カフェラテ、ピザマン。そして冬には欠かせないインスタント”コーンスープ”である。定期ルートを使い、そそくさと買い物を済ませた。おそらく愛想がない者ムーブだったのだろう。いつもは入っているスプーンが無いことに気づいたのは、お湯を入れた後だった。

だが僕はクレームどころか、スプーンすら要らない。

__3ヶ月前

知人に勧められた空手教室の体験。今更とは思ったが学生の頃とは訳が違い、腹が凹む理由がなかったのが理由。
いかにも「割ってみろ」と挑発するようなU字型の板が、ピタリと無駄なく積み上げられている。もろちん挑発に乗った僕は、全体重+魂を乗せた一撃をお見舞いしてやった。
「容易い」
容易く砕け散ったのは、僕の左腕だった。

目覚めると、知らない天井だった。
おそらく気を失ったようだ。
なんとも、ひ弱な自分に落胆しながら原因であろう左腕に視線を移す。

特に包帯が巻かれているだけ_。キュイーン

右側から軽快な音がクレッシェンドで目障りな異音へと変わる。

音の発生原、ドリルだ_。

明らかに僕の右腕が生えていた箇所からドリルが捻り伸び、螺旋回転していた。

二度目の失神___

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