小説– カテゴリー –
-
【縦列型短編小説】くものほね 第二章
第二章/庭に咲く声 次の夜も、ボクは夢を見た。白い紫陽花が、ふたつに増えていた。庭の奥で、少女が待っていた。前よりも、少し年上になっていた。少しだけ髪が伸びて、表情が影を帯びていた。「思い出すと、きれいになるの」少女はそう言って、しゃがみ... -
「カフネ」2025年本屋大賞の受賞おめでとうございます
【まず、本当におめでとうございます!凄いことなんでしょ!】 カフネ 著:阿部暁子 講談社 (公式HP:https://cafune.kodansha.co.jp) 本屋大賞本当におめでとうございます。めっちゃくちゃすごいです。めっちゃ面白かった。 公式の配信では、著者の... -
【縦列型短編小説】くものほね
第一章/箱の中の夏 祖母が死んだ。その夏、ボクは、山あいの町にいた。空は深く澄んでいて、蝉の声が、空気の隙間を埋め尽くしていた。母とふたり、田舎の家で祖母の遺品整理をすることになった。もう何年も使われていない畳の匂いと、どこか湿った風。時... -
【縦列型短編ミステリー小説】おかき殺人事件
霊豚「ふむ……実に妙だ……」 探偵・霊豚(れいとん)は腕を組み、部屋を見回した。 被害者・田中は床に倒れ、口から血を流して絶命している。 部屋には外部から侵入した形跡なし。 死因は喉の裂傷による失血死。 そして、テーブルの上には一袋のおか... -
まさにあなたを探していました
そうです。まさにあなた、あなただけを探していました。 あなたはインターネットに励んでいますよね? 関わり方は発信ではなく、視聴、浴びるだけに留まっているかもしれません。 でも、あなたを探していました。 生活の納得度はうーん65点、といったとこ... -
ベストバイを紹介します。
みなさんこんにちは、いきなりですが今回は私のベストバイを紹介します。 何故かというと、ベストバイの紹介に憧れたからです! ベストバイっていいですよね、その人の思想やこだわり、趣味、人生観などいろいろなものが見えてきますよね。 まあシンプルに... -
【連続大ミステリー小説】チョップマン [上]
憧れていたのだ。22歳の冬、今日はやたらと冷える。僕にはコンビニでのセットリストがある。甘くない伊国風カフェラテ、ピザマン。そして冬には欠かせないインスタント"コーンスープ"である。定期ルートを使い、そそくさと買い物を済ませた。おそらく愛想... -
【超短編小説】解凍ビーム
僕は冷凍ビームが打てる。 頭がおかしいと思うかもしれないが、話を聞いてほしい。 実際にビームが打てるわけではない。これは僕のあだ名だ。 僕が話すと場が静まり返ってしまう。僕自身には原因がよくわからないけれど、昔からそうだった。僕は正直気づい... -
鎖の行方は昇竜拳
私には鎖が巻き付いている。これは母が私に縛った鎖だ。 高校生になってそれが目に見えてしまいそうな程、強く感じるようになった。 うちは片親で、兄がいた。私が高校生になった時、兄は大学を卒業し、プロの格闘ゲーマーを志し家を出ていった。そして、... -
【絶望】ついに、お尻が割れる
【グッドモーニン・ママ】 諸君、元気にしているかな?今日は今朝あった出来事をお話しするよ。 悪夢 朝、目覚ましの音で体が勝手に動く。まだ夢の余韻が残っている中、いつものようにトイレに向かおうとしたその瞬間だった。 「あれ?妙に…違和感がある。...
1